「ようこそ!先輩! 第3回」

「ようこそ!先輩!」第3回。今回の先輩は佳田亜樹さんです。聞き手は大浴と矢野。
私たちは「あきさん」といつも呼んでいます。あきさんはイズミミュージックアカデミー出身の劇団7期生です。いつもスタッフとして私たちを温かく見守ってくださっていますが、劇団時代のお話を聞く機会はなかなかないので、お願いしたところ、快く引き受けてくださいました♪
 
 
☆プロフィール☆
情感に満ちた歌と確かな演技力で、多数のショーやミュージカルに出演。紀伊國屋演劇賞を受賞した「歌麿」では全米ツアーにも参加し、高い評価を受けた。退団後はフリーで活躍する傍ら、自らの企画制作事務所、Witching Banquetを設立し、ライフワークともいえるWB LIVEを年に2、3回のペースで上演。ブロードウェイ・ティスト満載の『LOVE & LIFE』『I love it!』シリーズをはじめ、抜群の企画力で毎回、好評を博している。また、昨年、オリジナルミュージカル『夢の続き』で初の作・演出を手がけ、新たなキャリアの一歩を踏み出した。その他、東北大震災をきっかけに立ち上げた幼児向けの参加型パフォーマンス『Join・みんないっしょにやるのだぁ!』などのプロジェクトや、NHKおかあさんといっしょ」、ベネッセ等の子供向け作品のスタッフ、ヤマハミュージカルコースの講師としても高い手腕を発揮。ボランティア活動にも積極的に取り組み、これまで15年間に渡り、自らのライブ等で呼びかけた募金を、世界の恵まれない子どもたちに送っている。
《主な作品》
【在団中】「歌麿」、「おれたちは天使じゃない」、「洪水の前」、「THE PAJAMA GAME」、「GODSPELL」「不思議なオルゴール」他多数。【退団後】「CLOSER THAN EVER」、「シェルブールの雨傘」、「The Singers」(博品館シリーズvol.1~5)、「Rhapsody in Dream」、「雪村いずみ40周年記念ミュージカル クッキングガール」、「いずみたく中村八大追悼コンサート」、他多数。
 
 
大浴・矢野 よろしくお願いします!
大浴 まず、いずみ先生とのこれは一番印象に残ってる!という思い出は何ですか?
佳田 なんだろう…一番印象に残ってるのは…そう、NYに行ったのね、いずみ先生と。
リンカーンセンターで、いずみ先生の曲が演奏されることになって、お友達が指揮するってことで、それを聴きにいったの。劇団で行きたいっていう有志数人とツアーみたいにしてね。
大浴 そんな事があったんですね。
 
佳田 それが私の初のブロードウェイだったんだけど…その時にバーナデット・ピーターズの「ソング・アンド・ダンス」を見て、もう、すごく感動してね。「ああ、こんな作品やりたいなあ」って言ったら、いずみ先生が「あきならできるんじゃない?」って言ってくれたの。
大浴 嬉しいですね!
佳田 そう!お世辞みたいなものだと分かっていても、でも、とにかくその時はすごく嬉しくて…今も心のどこかで支えになってるかも。
大浴 そうだったんですね。その頃の先輩たちのお話を伺うと、いずみ先生と劇団員が思ってたより近い関係なのかなって思ったんですけど、そういうのってありますか?それとも、すごく、雲の上の先生って感じでした?
佳田 若い時は生意気だったから(笑)そんなに遠く感じなかった。
大浴 へー!
佳田 今、自分が歳をとって、凄い人と若い時、接してたんだなって、逆に実感してる感じ!
大浴 逆にですか!
佳田 当時は…なんか…そう…偉い人なんだけど、近い感じって…分かる?それだけ先生が大きかったんだよねぇ…。
大浴 そういう感じだったんですか!じゃあ、今度はかなりちゃんから質問してみる?
矢野 フォーリーズに関わってなかったとしたら、今、何をされてると思いますか?
佳田 うーん。どうだろうねえ。ミュージカルをやってなかった可能性もあるね。うん。
大浴 でもお芝居はやられてた?
佳田 うん。アカデミーに関係する前は、アングラとか小劇団が大好きで…。
大浴 そうだったんですか!
佳田 そういう芝居ばっかり観てた。大学生の頃ね…玉川の演劇科だったんだけど…演劇少女だった。だから、そのままの流れでいったら、どっかの小劇団とかに入ってたかもね。
大浴 私、すごくあきさんと近いかもしれないです!ミュージカルやろうと思ってなかった!
佳田 だけど、歌が、もの凄く好きだったから。
大浴 お芝居と歌、両方好きなのが、繋がったんですね♪
 
矢野 もう一つ、質問いいですか?あきさんが所属されてた頃、いずみ先生がまだいらっしゃった頃のフォリーズと、最近のフォーリーズとで、ここが違うとか、こういう所は受け継いで欲しい、みたいな部分ってありますか?
佳田 うーんとね。フォーリーズって今また、すごーく変わってきてると思うのね。私達がゴソッとやめたあと、一時、本来の劇団としての機能が停止してしまっていた時期があったけど、ここ数年また劇団員が自分たち主導で何かを生み出そうっていうものが感じられるようになってきた。それが劇団の運営だけじゃなくて、作品の中とか、一つの役をやる上でも良い方に影響してきてる思う。変化してる感じが、すごく楽しみ。ただ、今、いずみ先生がいないということで一番大きく違うと思うのは、劇団の芸術的な面を総合的に守ってくれる人がいないってこと。芸術監督じゃないけど、今の自分たちが作品のクオリティをあげるために何が必要かということを考えて、実行してくれる人。ノーと言える人の存在。いずみ先生亡き今、それが個人なのか、劇団の体制なのかは分からないけど…とても必要な気がするの。なんのために作品を作るのかっていう、とてもシンプルな意味でもね。
大浴 今、劇団の核みたいなものを創ろうとしてるのかな。皆でって感じはあるんですけどね…
 
 
大浴 あの、話しは変わりますが、あきさんはいつも元気そうに見えますけど、落ち込んだ時とかどうするんですか?
矢野 どうやって持ち直すか、気持ちの立て直し方を知りたいです!
佳田 いや〜、超激しく落ち込むよ!(笑)でも負けず嫌いだからあんまり外には出さないのかもね。悩んだり、迷ったりした時は、自分が何をやりたいのかっていう原点に帰るかなぁ。自分はこれをやるべきなのか、自分が本当にやりたいのは?自分がやりたい事の為にこれは必要なのか?っていう考え方をするかな。それで、答えが出ない間は悶々とするけど、答えが出たら。もう、とにかくやるしかない、進むしかないから。
矢野 参考になりました!
大浴 最後に今いる劇団員にメッセージをください!
佳田 もっともっと、色んな意味で欲張りになって欲しいと思う。それと若い劇団員の人は、もっとデコボコして欲しいなぁって…何かこう、一歩引いた所にいるっていう印象を受けるのね。その他大勢の中に埋没せずに、ちょっと飛出すといいなあ…って。失敗しても、へんてこりんでも「私はこれです!」みたいな。自分ではへんてこりんだと思ってても、もしかしたら違う人から見たら「いや、面白いね」って思うかもしれない。ひいて印象に残らないんだったら「何だよ、あいつ。」言われても印象に残る方が全然良いと思うの。ああ、そういうキャラなんだなと。そうしたら、そのときはそのキャラが必要じゃなくても、必要になった時に「あっ、あいつは?」ってなるじゃない。だから、いっぱい出っ張って、いっぱい叩かれて、(笑)「チクショウ、今に見てろ!」って思いながら、前に進んでいって欲しいなぁ。
矢野 なるほど。
大浴 今日は素敵なお話をありがとうございました。
矢野 ありがとうございました。
 
 
佳田亜樹さんは「イッツフォーリーズの原点」「A Midsummer Night's Dream」の歌唱指導をしてくださっています♪
 
さてさて、次はどの先輩が登場するでしょうか?次回をお楽しみに♪